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最高裁判所第二小法廷 昭和35年(オ)499号 判決 1961年4月07日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代表者安部誠の上告理由一、二、四点について。

訴訟代理人は、特別委任を要するものを除くほか、当事者から訴訟委任を受けると同時に、特別の委任がないときでも、当該事件について一切の攻撃又は防御の方法を提出することができ、したがつて、契約の解除が必要な攻撃又は防御の方法である以上、訴訟代理人は相手方に対し契約を解除する権限をも有するものと解すべきである。本件記録によれば、第一審の第八回口頭弁論期日(昭和三〇年二月二六日)に本件契約を解除する旨の意思表示をした者が被上告人らの第一審訴訟代理人である川崎力三であり(この点は所論のとおりである。)被上告人らの防御は右契約解除があつたことを前提としなければ達成しえないこと及び上告人の第一審訴訟代理人である佐藤豊次郎は右口頭弁論期日に出頭したことが明らかであるから、川崎力三は被上告会社に代つて右契約解除の意思表示をする代理権を有し、適法にその意思表示をし、該意思表示は即時その相手方である上告人の訴訟代理人に到達したものというべきである。それ故、これと同趣旨に出た原判決に所論の違法はなく、所論は、その援用の判例の趣旨を正解せず、これと異つた見解に立つて原判決を攻撃するもので、論旨は理由がない。

同三点について。

本件記録によれば、被上告人らは、第一審裁判所に対し、川崎力三を訴訟代理人に選任した旨の委任状を提出したことが明らかであり、同人が、被上告人らから本件訴訟の委任を受けると同時に、所論の権限をも取得したことは前説示のとおりであるから、所論は、独自の見解に立つて原判決を攻撃するものというべきで、論旨は理由がない。

同五点について。

所論は、憲法違反をいうけれども、その前提を欠くものであること前説示によつて明らかであるから、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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